皆さんは草花や木々にそれぞれが意味を持つ「花言葉」を持っているのを知っていますか?
お花が好きな方なら知っている方も多いとは思いますが、花言葉はその花をイメージしたものや、その花の伝説をモチーフにした花言葉が多いのです。
そこで今回は花の持つパワー、花言葉について色々とお話ししていこうと思います。
ギリシャ神話と花たち
よく星座の物語にもなっているギリシャ神話。実はギリシャ神話から生まれた花も多く、その逸話から花言葉を付けられた花もたくさんあります。
水仙
1番有名な花だと水仙の花でしょう。美少年で有名だったナルキッソスは、このナルキッソスは水面に映った自分の姿に恋をして、そのせいで死んでしまったというお話です。
水面に映る自分に恋をしてそこから離れられず痩せ細ってしまい亡くなった説と、水面に映る自分にキスをしようとして水に落ちて亡くなった説などがありますが、どちらも自分に恋をしたお話で、ナルキッソスはその後ナルシシズムの語源となり、今では自分に陶酔する人をナルシストと呼ぶようになりました。
そしてナルキッソスが亡くなった跡に咲いたのが水仙の花で、その花言葉は「自己愛、自己主義、自惚れ」なのです。これはなるほど、と言いたくなる花言葉です。
クロッカス
伝令神ヘルメスは、冬の日に婚約者であるクローカスと、雪の中で遊んでいました。日が暮れてきたので急いで帰り支度をし、まずクローカスをソリに乗せて次にヘルメスが乗ろうとした瞬間に突風が吹き、クローカスだけを乗せたソリは深い谷底めがけて滑り落ちていったのです。
ヘルメスはあわてて追いかけますが追いつけませんでした。探せど探せど雪深い谷では捜索は難しく、疲れ果てた諦めかけたヘルメスの辿り着いた谷底にようやくクローカスを姿が。
しかしそこには大破したソリと血で真っ赤に染まった白い雪。
ヘルメスはあらゆる手を尽しましたが、クローカスを生き返らせる事はできませんでした。
次の冬、諦めきれないヘルメスがあの谷底へ行くとクローカスの流した血の跡に美しい花がたくさん咲いていました。
ヘルメスはこの花に二人の愛の証としてクロッカスと名前をつけたのだそうです。
そしてクロッカスの花言葉は「不幸な恋」と「切望」。
愛しい婚約者が亡くなってしまった「不幸な恋」、そしてその婚約者に生き返って欲しい、それが無理ならば2人の愛を永遠にという「切望」、クロッカスの寂しげで可憐な姿にはピッタリです。
セージ(ヤクヨウサルビア)
スピリチュアルでは人や物を浄化する作用があるとされているホワイトセージ、ハーブとしては抗菌作用が高くセージティーでうがいをすると風邪予防や歯肉炎や口内炎の緩和に良いとされている植物です。
このセージの元になったお話では、とある池のほとりにセージという妖精が住んでいたことから始まります。花を愛でながら静かに暮らしていた清楚で美しいセージは、ある日狩りに来ていた人間の王に結婚を申し込まれました。
王の情熱的な愛の告白にセージは戸惑います。なぜなら人間を愛することは死を意味していたからです。
王の熱心な求愛にセージは、「あなたは私の愛をもとめられました、だから私はあなたに命を差し上げます」と答えます。
王は大喜びでセージを強く抱きしめましたたのですが、セージはすでに生き絶えていました。その後、セージの住んでいた池の畔に回りには誰も知らない花が咲くようになって、人々はこの花をセージと呼ぶようになったと言います。
そしてセージで花占いをすると未来の夫がわかると言われるようになりました。そんはセージの花言葉は「家族愛」「燃える愛」。
王の「燃える愛」を受け入れたセージは例え自分が死んでしまったとしても、この人の妻になろうという「家族愛」があったのかもしれません。
ひまわり
夏に大輪の花を咲かせ、夏の花と言えば1番最初に思い浮かぶであろう花がひまわりではないでしょうか?あの元気の象徴でもあるような花が、実は悲恋のギリシャ神話から生まれていたというのは知っていましたか?
大洋神オケアノスの娘、水の精クリュティエは太陽神アポロンに恋をしていました。でもそれは叶うはずのない切ない片思いです。
クリュティエの1日は嘆き悲しむ事から始まります。愛しいアポロンが東の空に昇ってくるのをジッと待ち続け、昼間のうちは天の道を行くアポロンの姿を目で追いかけ、アポロンが西の空に沈んでいくと、また涙を流していたのです。
何も食べず、自分の流す涙と夜露だけの毎日を過ごしていたクリュティエはある日、足が地面に根付いてしまい顔も花に変わってしまいました。
こうして今でもひまわりの花としてクリュティエはアポロンである太陽を追い求めていると言います。
日の登る位置で花の向きを変えるひまわりにはそんな悲恋の話があったのです。
そんなひまわりの花言葉は「憧れ」、「あなただけを見つめています」。アポロンに「憧れ」ていたクリュティエは、きっと毎日「あなただけを見つめています」と深く想っていたのでしょう。
サフラン
サフランといえば、香料、染料、香辛料、薬用にも使われる万能の花です。鮮やかな紫色の花の背景には、心がほっこりとするようなギリシャ神話があります。
花の女神クローリスは、春から夏へと色々な花を咲かせてきて、1人物思いにふけっていました。そこへ牧場の仔羊たちが野原の草が枯れてしまって悲しんでいる、彼らに心地よく昼寝を楽しめる寝床を与えてあげて欲しいとのニンフの訴えがあったのです。
あまりにも羊たち思いな言葉に胸を打たれたクローリスは、秋の終わりのその時にサフランの花を咲かせて仔羊たちのベットにしてあげました。
そんなサフランの花言葉は「歓喜」最盛期が11月のサフランの花をベッドにお昼寝できた仔羊たちはどんなに嬉しかったでしょうか。
サフランが咲いたときにはきっと「歓喜」の踊り代わりにぴょんぴょんと飛び跳ねて喜んだのかもしれないと考えると本当に愛らしいストーリーです。
【世界各国の花のストーリーと花言葉】
まだまだ世界各国には花についてのエピソードが残されています。それぞれのエピソードを見るとその国の特色などもみて取れるので楽しんでみてください。
虞美人草(グビジンソウ)
ヒナゲシの花の別名でもあります。秦末の武将・項羽には虞と言うとても美しい愛人がいました。項羽は劉邦に敗れ、垓下に追い詰められた時に、項羽は死を覚悟して垓下の歌を歌います。
その内容は、自分はもう不利で愛馬も動こうとはしない、虞美人よ、お前には何がしてやれるだろう、何もしてやれないではないかというものでした。
それに合わせて舞を踊っていた虞美人は、踊りを終えると「項羽の足手まといになりたくない」自害してしまいます。
その身を葬った虞美人の墓からは翌年の夏に赤い花が咲き、虞美人草と名付けられました。
虞美人草の花言葉は「慰め」「労り」「思いやり」です。きっと戦いに敗れ四面楚歌となった項羽を虞美人は、心優しく花言葉の通りに接していたことでしょう。
クチナシ
甘い香りで人気のクチナシにはロマンティックなエピソードがあります。
ガーデニアという名の清楚な女性がいました。ガーデニアは白い色が大好きで、身の廻りの何もかもを白い色で統一していました。
ある時、天使がガーデニアのところにやってきて来て植物の実をガーデニアに渡し、「これは天国の植物です。大切に育ててください。
そして花が咲いたらキスして下さい。1年経ったらまた来ます。」と言い残して天に帰っていきました。
ガーデニアは鉢植えを大切に育て、ちょうど1年が経った頃に白くて香りのよい花を咲かせました。
この花が地上に最初に咲いたクチナシの花です。
ガーデニアがクチナシにキスをすると、天使が現れ「あなたこそ私の求めていた人です。」とガーデニアにプロポーズしたのです。
そしてガーデニアと天使は結婚し、仲良く幸せに暮らしました。このエピソードからヨーロッパでは「運命の人を導く花」としてクチナシは愛されています。
そんなクチナシの花言葉は「幸せ・喜びを運ぶ」「とても幸せです」。天使はクチナシの花、種という「幸せ・喜びを運ぶ」ことでガーデニアと結ばれました。
きっと2人とも「とても幸せです」と仲睦まじく暮らしていたのかもしれませんね。
ナウパカ
あまり聞き馴染みのないナウパカはハワイやポリネシアを中心に生息している花です。この花は花びらが半分しかなく、半円形にさく不思議な花。
このナウパカは海に咲くビーチ・ナウパカと山に咲くマウンテン・ナウパカがあります。
その理由が悲しい恋の物語となっているのです。
昔、王族の娘でナウパカという少女がいました。ナウパカは村の青年と恋に落ちましたが、当時のハワイでは階級制度が厳しく、王族と村人が結婚するというのは有り得ないことだったのです。
それを悲観した2人は一緒に命を断ち、結ばれようとしました。しかしその行為は神の怒りに触れ、2人は永遠に離されることになってしまったのです。
青年は山のマウンテン・ナウパカに、娘は海のビーチ・ナウパカにされてしまいました。半球で半分しか花びらのないこの2つの花を合わせると1つの花、1つの丸となります。
そうして2つの花を合わせた時、2人は再会できた喜びに涙を流す為に雨が降るという伝説が残っているのです。別名、悲恋花と呼ばれているナウパカのお話でした。
勿忘草(ワスレナグサ)
ある日、騎士ルドルフと恋人のベルタはドナウ川の岸辺を歩いていました。するとベルタは急流の中に愛らしい花を見つけます。
ルドルフはベルタのためにその花を摘もうと川に飛び込んだのですが思ったよりも遥かに上回る激流にルドルフは焦りました。
なんとか花を掴んだものの、ルドルフは川に飲み込まれていきます。もう助からないと感じたルドルフは「私を忘れないで下さい!」と叫び、その花をベルタへ投げ渡したのです。
そうしてルドルフは激流に流されて帰らぬ人となりました。ベルタはルドルフの遺言通り、彼のことを忘れずにいつまでもその花を髪に飾り続けたそうです。
そんな勿忘草の花言葉は、ルドルフが死の間際に叫んだ「私を忘れないで」。なんとも悲しいドイツの物語でした。
なんとも恐ろしい花言葉
花言葉もさまざまな意味を持ち、その中でも怖い花言葉を持つものも多くあります。
- 黒百合「呪い」
- オレンジの百合「憎悪」
- ロベリア「悪意」
- アザミ「報復」
- スイレン「滅亡」
- ハナズオウ「裏切りのもたらす死」
- 弟切草「敵意・恨み」
- トリカブト「あなたは私に死を与えた」
- ガマズミ「無視したら私は死にます」
- シレネ「欺瞞・罠」
- スノードロップ「あなたの死を望む」
- ドクニンジン「死をも悼まず」
- リンドウ「悲しんでいるあなたが好き」
などなど他にもたくさんの怖い花言葉があります。一見よく送られている花でも色によってはマイナスな言葉の花言葉もありますし、お花をプレゼントする際には気を付けたいところです。
意外!こんなものにも花言葉
花言葉は意外なものにも付いているのを知っていますか?え?こんなものまで?というものにも花言葉は付いているのでご紹介していきます。
- パイナップル「完全無欠」
- バナナ「風格」
- レモン「誠実な愛」
- 枯葉「憂鬱、ロマンティック」
- バラのトゲ「不幸中の幸い」
- バラの枝「あなたの不快さが私を悩ませる」
- 花の取れたバラ「諦めないで」
- 松「同情、憐れみ、不老不死」
- 杉「雄大、君と共に生きる」
- 銀杏「淑やか、鎮魂、長寿」
- アスパラガス「私が勝つ」
- 松茸「控えめ」
- ゴボウ「私をいじめないで」
- トウモロコシ「財宝、豊富」
- トマト「感謝」
果物や野菜、樹木、枯葉、トゲや枝にまで花言葉があるなんて驚きですよね!身近なものの花言葉を調べてみるのも面白そうです。
まとめ
草花や樹木、果物や野菜に至るまで花言葉は付けられています。
そしてそれぞれの物語を持っているものが多く、花も長い間その魂を宿らせてきたのだと感じると納得の花言葉も多いと感じました。
皆さんもふと花が目に入った時には、花の持つ魂や、想い、物語を思い出したり、自分でストーリーを作ってみてください。
花の持つさまざまなパワーが味方してくれるかもしれません。